アブラ州における伝統織物技術の現状

アブラ州を含むルソン島の北西部地域のコルディレラ山系の西側の平野部では、雨季が半年、乾季が半年続きます。1960年代迄は、乾季にはワタを栽培する地域も多く、各地で機織りが盛んでした。綿糸を用いた手機織機による機織りが各家庭で行われ、伝統的に織られてきた綿布は寝具や衣類などになり、村によって織模様も色味や風合いが異なった、地域の特性を持った様々な布が織られてきました。しかし、1970年代に入ると、安い外国製繊維製品に押され徐々に、村々で女性達が行なって来た機織りは衰退していきました。Lapaz町にあアブラ州を含むルソン島の北西部地域のコルディレラ山系の西側の平野部では、雨季が半年、乾季が半年続きます。1960年代迄は、乾季には綿を栽培する地域も多く、各地で機織りが盛んでした。綿糸を用いた手機織機による機織りが各家庭で行われ、伝統的に織られてきた綿布は寝具や衣類などになり、村によって織模様も色味や風合いが異なる地域の特性を持った様々な布が織られてきました。しかし、1970年代に入ると、安い外国製繊維製品に押され徐々に、村々で女性達が行なって来た綿機織りは衰退し、化繊の織物へと変化してゆきました。

今でもLa paz町にあるBulbulala村の5つの織物組合では、一部男性を含む、多くの農村女性によって盛んに化繊の手織物が織られています。ここで織られる布は、平織りのカンタリーナス織とビナコル織が中心となっています。古くは、自分たちで栽培した綿から採れる綿糸を使って、衣類や寝具が織られてきました。今では平織り中心ですが、昔は、立体的な模様が浮き出す、日本のふくろ織に近い高度な織の技術が使われおり、その技術の復興が図る試みが始まっています。手織物業が盛んではありますが、残念なことに手織物にも関わらず、化繊で織られているため価格が販売価格は低く抑えられています。そこで、アジアなりわいネットはLa Paz町のBulbulala村を中心に2022年度から話し合いを行い、2023年度から「フィリピン・アブラ州の農村の手織物業の技術と収入を向上させるプロジェクト」を実施し綿織物の再興のため現地の科学技術省(DOST-CAR)や繊維研究所(PTRI)の協力を得て綿織物の復興を図っています。るSaranay織物組合では、現在50名の農村女性の組合員からなります。ここで織られている布は、2本の経糸が上下する平織りのシンプルな布です。

先住民族ティンギャン族の伝統技術

先住民族ティンギャン族の集落では、糸や生地を染めるだけでなく、染めた糸からの機織りも行われています。 ティンギャン族の伝統的な織り方を続けているとともに伝統模様の刺繍が施しており、独特の風合いのある作品を作っています。

伝統模様は、守り神のシンボルであるヤモリ、薬草、幸運の花模様の刺しゅうを施すことや、金糸を織り込んだ花模様や、水牛や人、花などの織りこんだ模様からなっています。ティンギャンの中でもマーケティングに成功している村と、そうではなく後継者不足に悩む村があり、将来的に後者の村を元気づけたいと考えています。

Abel ti Abra(アブラの手織物)設立とファッションショーによるアブラ州の織物産業の活性化

2023年の綿織物のプロジェクトにはBulbulala村の5つの団体それぞれから5人のチャレンジャーが参加し、この5人が中心となりプロジェクトを推進してきました。将来的なブランディングと綿織物に取り組む織り手の紐帯を強めるため、受け皿としての団体である、Abel ti Abraを2023年10月に設立しました。それ以降は、Abel ti Abraをカウンターパートナーとし、それをアジアなりわいネットと、科学技術省コルディレラ支部(DOST-CAR)と繊維研究所(PTRI)とアブラ大学(UA)が支援してゆくことになりました。そして、2024年2月に科学技術省コルディレラ支部(DOST-CAR)と繊維研究所(PTRI)と、アブラ大学(UA)の後援を受け「Abel ti Abra where tradition meets innovation」を開催しました。

このファッションショーは、Abra州内のみならず。コルディレラ地域で広くテレビ放送され多くの反響を呼びました。アブラ州の多くの織り手が、Abel ti Abraに参加したいと名乗りを上げ、現地の通商産業省(DTI)も加わりアブラ州の産業として織物業を盛り立てていこうという動きが始まっています。また日本の綿織物産地である、播州織との交流と目的とした「未来を紡ぐ綿織物のワークショップとファッションショー 播州織の技をフィリピン・アブラ州の織物産地に伝える」事業を2024年度日本万国博覧会記念基金から助成を受けて行う予定です。

❖ 本事業は2024年度日本万国博覧会記念基金から助成を受けています。


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