魅力ある生産者の皆さんとの出会いからアジアと日本の交流を通して 魅力ある農業を目指す

日本だけでなくフィリピンやインドネシアなどにおいても、若者の農業離れや都市部への人口集中による農業人口の減少が生じています。またそれに伴い、生産の担い手の高齢化・後継者不足が起こっています。

そのため各国で次世代の若者を引き付ける魅力ある農業の形成、及び、農業をよりどころにした地域資源を活用する産業の創出に若者を巻き込むことが早急に望まれているといえます。つまり、若者にとっても魅力ある農業の模索が日本とアジアの農業に共通する課題であるのです。

これまで、私たちは、フィリピン・アブラ州の農業協同組合とインドネシアからの要請を受け、兵庫県神戸市と丹波市ならびに大阪府能勢市で農業研修プログラムをコーディネートしてきました。

兵庫県の丹波では、30年前から農産物の差異化や加工による付加価値を高める農業の6次産業化と同時に生産環境の保全や農産物生産の安全にも力を注いできた地域です。若者人口を農業生産に巻き込み、地域社会の活性化を図るだけでなく、加工においても家族規模経営で様々な商品開発やブランド化を図り、また消費者との関係形成も熱心です。

その丹波の企業の一つである芦田ポートリーさんが、丹波に人脈を持たなかった私たちを丹波の素敵な生産者さん達を結びつけてくださいました。

この農業交流研修プログラムの企画を通して、多くの素敵な生産者さんと出会うことができました。そして、丹波地方における生産者さん達の持っている技術やノウハウが国際的に貢献できるということに対する誇りと新たな価値を再考する機会となりました。

海外からの視察・研修を受け入れて下さった生産者さんの紹介

株式会社 しのたろう農園さん

しのたろう農園さんは、家族経営でありながら、多様な加工品をどんどん考案していて 6次産業化を進める丹波市でも注目されている有機農家さんです。いつも明るく笑顔の素敵なご夫妻が迎え入れてくれます。

研修プログラムでは、有機農業を始めた経緯から、試行錯誤の末、JAS 認証を取得するまでの丹波しのたろう農園の経緯を伺いながら、これまで丹波しのたろう農園で作られてきた多くの商品を見せていただきました。次に、実際に黒豆を焙煎して黒豆茶にするまでの過程を視察させて頂きました。プロセッサーや乾燥機など初期投資にかかった費用などまで、私たちの質問に一つ一つ丁寧に答えて下さいました。

そして、温かい黒豆茶と炊き立ての白いご飯で、商品の野菜パウダーの試食をしました。この野菜パウダーは野菜嫌いの人にも野菜を食べてもらえるようにと開発された製品だそうです。

これなら野菜嫌いの人も、この加工方法や食べ方に興味を持たれるかもしれないとフィリピンやインドネシアからの参加者は、丹波しのたろう農園が家族経営でありながら、夫妻のアイデアで農産物の様々な売り方をしていることに感銘を受けていました。

宮垣農産さん

宮垣農園さんは、家族経営ながら、無農薬水稲栽培を大規模に行い、有機 JAS 認定を取得したコメを販売しています。さらに、栽培した農作物の栄養検査で得られたデータを活用し、次作以降の有機肥料の量の調整に役立てています。土壌中の窒素過多に注意して栽培された有機ニンジンは硝酸態窒素が少なくて糖度が高く、そのニンジンを使ったジュースは注目されています。

土づくりを大切にする宮垣農産では、土壌分析機器「ドクターソイル」の使い方を指導して頂きました。宮垣農産で十分に発酵させた堆肥を使い、害虫が寄らない土づくりを行います。

フィリピンでは土壌の酸性度の測定が精一杯で、簡易にできる検査方法を求めていたため非常に関心を呼びました。その後、鶏糞、もみ、米ぬかを使った土づくりの基本に関して指導を受けました。これらの研修を通して、良好な土壌状態が保たれれば、有機農薬も使わずに、病害の見られない健康で頑強なおいしい農産物が生産できると教えていただきました。

フィリピンからの参加者は、将来的にドクターソイルなど化学的な分析機器の助けを借りながら、生産者自身で土壌の状態を測定し、自分たちの理想的な土づくりを目指したいと熱く語ってくれました。

株式会社 芦田ポートリー

芦田ポートリーさんでは、鶏の飼育方法にこだわっており、平飼い(鶏を地面に放して飼う養鶏法)や放し飼い(屋外の青空の下で平飼いを行う養鶏法)による飼育方法を採用しています。鶏たちは鶏舎内と屋外を自由に出入りすることができ、ケージ(鳥かご)に閉じ込める飼育法では見られないような自由で活発な運動をしており、羽艶も良く、どの鶏たちも立派です。「ボリスブラウン」と「岡崎おうはん」の 2 種類の鶏が平飼いで飼育されています。飼料にもこだわっており、遺伝子組み換えではないトウモロコシと大豆粕を主原料とした飼料に地元の契約農家のコメや酒粕、野菜などを手配合しているそうです。こだわりの飼料とミネラル豊富な水で育ち、どの鶏たちも元気いっぱいです。

また、飼育している鶏が産んだタマゴを使って菓子や茶碗蒸しを製造して販売もしています。その加工工房も視察させて頂きました。宮垣農産さんで栽培された人参や、丹波乳業さんが販売するノンホモ低温殺菌牛乳など丹波の農産品とコラボしたシフォンケーキやプリンを試食し、参加者さん達はそのおいしさに感動していました。

参加者たちは、鶏舎の床には、有機肥料を使って栽培された稲の籾殻やコーヒー粕、EM 菌(有用微生物群:鶏糞や床材の質を改善する目的で使われること がある)などを散布するなどの工夫が施されていました風通しが良くて鶏舎特有の臭いがあまりなく、清潔に保たれている鶏舎内環境を見て、参加者の皆さん、とても驚いていました。